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鱗燦堂
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2018年11月04日 [鱗燦堂]

ある町の裏通りの赤色と黄色

 東京のある町の裏通りを歩いていた。そこは歩行者向けに作られた専用道路で、テニスコートの赤色をした地面のように、特別にコーティングされた道路だった。足裏に伝わる感触もやわらかく、どこか上の空になるような奇妙な感覚があった。それはそれでよかった。思わず写真を撮りたくなったのは、その赤い色をした道路が、先のほうで秋の日差しをいっぱいに浴びて、黄色に輝いていることだった。まるで黄色の塗装を施したように、赤色から決別しているのである。「ちょっと待ってよ」と言いたくなるくらい、赤色に反逆しているのである。
 僕は、よく町の夢をみる。そこで、妙にやわらかい足裏の感触を意識しながら、「たぶん、この道路を僕は夢の中で歩くだろう」と思った。赤い色が『現世』で、あの黄色く輝くのが『彼岸の世界』。そう解釈して、歩くのだろう、そう思った。日陰になった赤い色がきれいだったので、来た道を振り返って写真を撮ろうかと思ったが、それは止めにした。振り返る光景に魅力を感じるほど、(老いぼれてはいない)そう自分に言い聞かせるのだった。先を見て、パチリ。赤い色とそれに反逆する黄色。それはそれでいい。

ある町の裏通りの赤色と黄色


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