
2019年08月25日 [鱗燦堂]
記憶の坂道
こんな時間。待ちぼうけのひととき。
この頃、夜中によく目が覚める。覚醒してしまうのだ。雪洞、かまくらに入っているような気分なのだ。外界からは閉ざされた特別な時間。エアーポケットに入り込んでしまったような、特別な時間。
憶い出されるのは、小さい頃、母が営んでいたお菓子屋でのこと。夏の暑い日、いつもはそろそろやって来るアイスキャンディー屋のおじさんがまだ来ない。まだかまだかと待つ。やがて、アイスキャンディーをいっぱいに積んだ自転車を重そうに押しながら、坂道をのぼってくるおじさんの姿が見える。待ちぼうけのひとときが跡形もなく消えていく一コマである。
この頃、夜中によく目が覚める。覚醒してしまうのだ。雪洞、かまくらに入っているような気分なのだ。外界からは閉ざされた特別な時間。エアーポケットに入り込んでしまったような、特別な時間。
憶い出されるのは、小さい頃、母が営んでいたお菓子屋でのこと。夏の暑い日、いつもはそろそろやって来るアイスキャンディー屋のおじさんがまだ来ない。まだかまだかと待つ。やがて、アイスキャンディーをいっぱいに積んだ自転車を重そうに押しながら、坂道をのぼってくるおじさんの姿が見える。待ちぼうけのひとときが跡形もなく消えていく一コマである。
