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鱗燦堂
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2019年11月02日 [鱗燦堂]

『ゴッホ』はどこからやってきて、どこへ去ってしまったのか。

 上野の森美術館で開催されている『ゴッホ展』を見に行ってきた。人気で人が多い。あらかじめテーマを決めて見に行くつもりだった。今回のテーマは『ゴッホが切り取ろうとした風景の構図を感じ取り、そしてその同じ目線に立つこと』である。絵を鑑賞するのではなく、ゴッホの『絵にしたい』と思った構図、その時間に共振したいと思ったのである。だから人の多さは気にならない。
 けれども知らないことが多かった。どうしても晩年の頃の『青』や『黄色』の印象が強いが、『ハーグ派』時代の『秋の夕暮れ』や『秋の小道』など、落ち着いた色調の風景画も得意としていたようである。今回とくに気にかかったのは、『ゴッホ』に影響を与えた周囲の画家たちのことである。アントン・マウフェの『雪の中の羊飼いと羊の群れ』も大胆な構図で印象深い。そしてなんと言っても、アドルフ・モンティセリ。40数年前パリの印象派の美術館で『ゴッホ』の作品を実際に目にしたとき、油絵の具がこれでもかというくらい厚く盛り上がって描かれているのには驚いた。正面から見るより横から見るほうがより切迫感があるのではないかと思ったくらいである。そのとき『なぜ?ここまで』という腑に落ちない思いが残った。それが今回、解決されたのである。師匠は『アドルフ・モンティセリ』だったのである。モンティセリの『ガナゴビーの岩の上の樹木』は力強い、これでもか!という絵である。凛としている。ゴッホが感服するのも至極もっともである。
 ゴッホの絵で気に入ったのは、『麦畑とポピー』である。構図と色の取り合わせとがしっくりとして、見るものを誘うような強さがあるのである。
 そして最後の一枚は、なんと言っても『糸杉』。しばしその絵の前でパワーをもらえるような気がして、深呼吸した。ガンガンとエネルギーが押し寄せてくるのである。
 ゴッホはどこからやってきて、どこに行き着いたのか。ゴッホの変遷、あるいは成長、いや違うこの変貌をどのような言葉で表現すればいいのかわからない。ただ圧倒されるばかりである。『ゴッホ』はどこからやってきて、どこへ去ってしまったのか。
ゴッホ展


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