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新刊『キミよ、孔雀のように美しくあれ!!』(文芸社)

キミよ、孔雀のように美しくあれ!!

《あなたは記憶の中にある、特別の景色に、きっと遭遇する》
(あらすじ)
 人材ビジネス業を営む茨木葉二の元に、初老の男が行方不明の娘の足取りを追って訪ねて来た。娘の名は「オースティン志乃」。『南総里見八犬伝』の主人公の一人の名を取って、強い子に育つようにとの願いが込められている。「オースティン」という外国名に不思議さを感じたが、祖父がオーストラリアから来た冒険家で、小笠原をひどく気に入って住み着いたらしいことを「オースティン志乃」からすでに聞いている。
 茨木葉二は「オースティン志乃」が仕事の紹介を受けるためにやって来たときの会話を想い起し、劇団に所属していたことに気付く。恵比寿にある劇団に所属していた可能性をさぐり、劇団の主催者を訪ねる。そこでは「オースティン志乃」が劇団仲間から「ヒミコ」と呼ばれていたことを知る。その劇団の主催者から、「ヒミコはここにはもういません。鬼ヶ島に鬼退治に行きました」と告げられる。鬼ヶ島?鬼退治?謎の言葉を脳裡で反復しながら、茨木葉二の「ヒミコ」探しが始まる。
 鳥取県と岡山県の県境に、「智頭」という町がある。そこで劇団の小グループが実験的な生活を送っている。『共同幻想』の思想に基づき、コンミューンを形成している。しかし、仲間同士のいさかいも起こり、しかも資金は底を尽き、今にも破綻しかけている。「ヒミコ」は劇団本部にその破綻が影響しないように、みずから進んで話し合いに出掛けていたのだ。
 やっと「ヒミコ」に辿り着いた茨木葉二は、「ヒミコ」と岡山の鬼ノ城で会う約束を取り付ける。鬼ノ城の山頂で二人は会う。「ヒミコ」の一途さに暗い影の予兆を感じながら茨木はヒミコの父親からの伝言を伝え、その場をあとにする。
 劇団の小グループのリーダーが起死回生の手段として、「マレーシアの大富豪が日本の美術工芸品に強い関心を持ち、いくらの値段がつこうとも買う」という話を持ち込んでくる。つまり、小グループがその美術工芸品を奪い、そのマレーシアの大富豪に売りつけて財政の危機を回避しようという話である。
 ヒミコはその話の真偽を確かめるために、小グループのリーダーたち仲間と共に、マレーシア・ペナン島に飛ぶ。そこで、話のブローカー・チャーリーと出会う。そこで、マレーシアの大富豪が手に入れたがっている日本の美術工芸品が『更紗蒔絵十字架』であることを知る。北陸・金沢の美術館所蔵の一品である。
 ここから物語は金沢へ。美術工芸品を違法的手段によって入手した一行の逃避行がはじまる。そして行き場を失った一行は、鬼ノ城を目指す。この山の頂にある城は遠い異国からの進撃に備えた防塁としての城である。劇団のメンバーたちは迫りくる危機から目をそらすように、歌い、踊る。巫女の朱色と白色の衣装に身をまとったヒミコが黎明の空の下で舞う。狂気が舞う。そして、物語は終焉を迎える。
 

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